接地抵抗

接地は漏電が発生した時に、事故などの被害を最小限に抑える事が目的です。

接地工事にはA、B、C、Dの4種類があり目的によって基準や工事方法が変わりますが、住宅ではD種が使用されますので他は割愛します。

アース棒などを敷地内の地面に埋め込み、アース棒と家中のコンセント等のアースを電線でつなぎます。

コンセントのアースは電気機器(電子レンジ、エアコン等)につながります。

 

接地工事 適用箇所 接地抵抗値 備考
D種   300〔V〕以下の低圧用の機器の外箱または鉄台 100〔Ω〕以下* 機器接地

*ただし、低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは500〔Ω〕以下とする。

 

上記が基準となります。

家庭ですと、0.5秒以内に遮断する装置とは漏電ブレーカーになりますので、漏電ブレーカーがあれば抵抗値が500〔Ω〕以下であればOKとなります。

 

では、なぜ接地が必要かを考えてみます。

 

機器や電線は経年や熱により劣化し絶縁が悪くなっていき、金属のケースや電源供給側の電線管に漏電した場合、人が触れると漏電のリスクが発生します。

漏電が発生し電気の流れている部分が炭化(トラッキングという)すると、そこが電流の流れ道となり発火し、火災の原因となる場合があります。

 

次に人が感電する場合です。

通常、電気を使用する機器は内部の電線とは絶縁されておりますが、電線が劣化して絶縁が低下してくると金属ケースや金属電線管に漏電して、そこに人間が触れると漏電電流が人間を通って地面に流れるため感電する事になります。

このとき、電気機器の金属ケースにアースを接続して地面とつながった状態(機器接地という)にしておけば、漏電電流は地面の方にも流れる事になります。

低い接地抵抗値で大地とつながっていれば、漏電して感電した場合でも、人体に流れる電流を低く抑える事ができます。

(なお、人体内部の抵抗値は500~600〔Ω〕程度と言われており、これよりも接地抵抗値が低いのがわかると思います。

皮膚の抵抗値はこれよりもかなり大きく、皮膚を電圧で焼いて破壊するのは1000〔V〕と言われています。

しかし、入浴後など皮膚がふやけた状態だと抵抗値が下がってしまい危険です。

そのため、濡れた状態では電気機器に気を付けなくてはいけない事になります。)

 

こうして、漏電した場合にも被害を最小限に抑えるため、接地工事が必要になります。